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日本の寒地,北海道におけるうるち米粒外 観 品質の育種(日文)

2020-12-08丹野吉村徹木下雅文

粮油食品科技 2020年6期
关键词:整粒精米北海道

丹野 久,吉村徹,木下雅文

(1. 北海道農産協会 日本 北海道札幌 060-0004;2. 北海道立総合研究機構 中央農業試験場遺伝資源部 日本 北海道滝川 073-0013;3. 北海道立総合研究機構 上川農業試験場 日本 北海道比布 078-0397)

キーワード:米粒外観品質;育種;未熟粒;精米と玄米の白度;寒地

日本では,公正で円滑な玄米の流通を図るために,生産者から農業協同組合(JA)に出荷された生産物に1~3等および規格外の検査等級を付与している。検査等級に大きく影響する要因として整粒歩合があり[1](表 1),整粒歩合が高いほど,糠が完全に除かれた適搗精時の搗精歩合が高くなるとともに,同一搗精歩合における精米白度が高くなる(図1)。整粒は被害粒,死米,未熟粒,異種穀粒および異物を除いた粒である。未熟粒とは死米を除いた成熟していない粒,被害粒とは損傷を受けた粒,および死米とは充実していない粉状質の粒である。これら粒のうち検査等級,すなわち整粒歩合にはとくに未熟粒発生の影響が大きい。

さらに,検査等級に影響する特性には,形質があり,皮部の厚薄,充実度,粒揃い,粒形および光沢並びに肌ずれ,心白および腹白の程度等をいう。この形質の「皮部の厚薄および光沢」では,玄米の飴色がうすく光沢があることが良く,すなわち,透明度が高いことが望ましい。また,着色粒の発生が多いと落等要因になる。

表1 農産物規格規定での水稲うるち玄米規格の品位(等級)における品位項目の定義等[1]

図1 整粒歩合と搗精歩合90%の精米白度との間の関係[2]

一方,「おいしいご飯は白くつやがある」といわれる。ご飯の白さおよびつやは精米白度と正の相関関係がある(図2)。また,同一品種の年次間地域間ではあるが,精米白度は玄米白度との間に正の相関関係が認められ[2],両白度ともに高いことが,流通 ・ 販売上望ましい。

図2 精米白度と炊飯米の「白さ」および「つや」との間の関係[3]

北海道米は,旧来,食味だけでなく米粒外観品質も東北以南産に比べ劣っており,1等米比率も低かった[4]。そのため,本格的な食味育種[5]を開始する1980年以前には,長い間多収性と耐冷性とともに米粒外観品質の向上が重要な育種目標であった[6]。

そこで,本報では,主に整粒歩合と未熟粒歩合,玄米と精米の白度について北海道新旧品種間の差異を明らかにした。さらに,それら米粒外観品質および玄米と精米の透明度について,現在の北海道作付け主要品種と東北以南の銘柄米品種との比較を行った[3,7]。

1 米粒外観品質の育種法

品種育成において,雑種後代の主に初期世代で行われる集団選抜から個体選抜および系統選抜試験まででは,粒大,粒揃いと粒張り,腹白と心白の発生程度を含む形質の良否および玄米の白度と透明度も,すべて達観により選抜している(表2)。一方,精米白度は均一なサンプル調製が難しため,同世代ではほとんど選抜されていない。これは,玄米白度と精米白度は正の相関関係にあるため[2],玄米白度を高く選抜することにより間接的に精米白度が高く選抜されると考えられることによる。

表2 北海道の水稲育種試験における米粒外観品質の選抜 ・ 評価方法 (◎は重点的,○は補完的に使用)

その後の生産力(予備,本)試験から奨励品種決定(予備 ・ 本)試験までにおいて,粒大は主に千粒重の測定により選抜する。また,玄米白度と精米白度は,達観による選抜と平行して白度計による測定値も選抜の参考に使う。

被害粒,死米および着色粒は,初期世代から中後期の全ての世代にわたり,達観で選抜を行い,具体的にはこれら粒の発生が比較品種よりも多い個体や系統は,廃棄される。さらに,奨励品種決定(予備 ・ 本)試験では整粒,未熟粒,被害粒,死米および着色粒を機器により測定し,品種 ・ 系統間比較の参考とする。

このように,生産力試験の前の試験までは全ての玄米外観品質について主に達観による選抜を行い,同試験以降には機器による測定値も参考にするとともに,加えてJA等の検査員による検査等級を調査する。検査等級は,未熟粒,被害粒,死米および着色粒の発生や粒形,粒揃いおよび玄米透明度を含めた形質の良否などの総合的な評価と考えられる。そのため,最終的に育成系統の検査等級を対象品種に比べた優劣も,新たな奨励品種に認定されるかどうかの重要な論点の一つになる。

2 北海道新旧品種における千粒重,整粒および未熟粒の発生

1903年に奨励品種となった「赤毛」から近年の育成品種まで,北海道新旧品種を比べると,千粒重は育成年次と一部の試験で正の相関関係が見られたが,概して明確ではなかった(図3)。これは,一般の新品種育成においては,大粒である,あるいは粒重が重いことをとくに育種目標とせず,比較品種に近い一定の範囲の値を目標に選抜していること,および大粒化すると腹白が生じるなど米粒外観品質が低下しやすいためと考えられる。

図3 北海道の新旧品種における育成年次と千粒重との間の関係[7]

図4 北海道の新旧品種における育成年次と整粒歩合との間の関係[7]

図5 北海道の新旧品種における育成年次と未熟粒歩合との間の関係[7]

一方,整粒歩合は育成年次が新しくなるほど高くなり(図4),未熟粒歩合は低くなる傾向があった(図5)。しかし,1971年以降に育成された品種に限定すると,整粒歩合と未熟粒歩合はともに育成年次との間に一定の関係は見られず,さらに未熟粒歩合について1984年以降に育成された主要品種を比較しても同様であった(図 6)。なお,全新旧品種および 1971年以降の育成品種,いずれにおいても未熟粒歩合が低くなるほど整粒歩合が高くなった(図7)。

図6 1984年以降に育成された北海道主要品種における乳白粒歩合(試験A) または乳白粒 ・ 基 部未熟粒・腹白粒歩合(試験B,C)の比較[8,9]

図7 北海道の新旧品種における未熟粒歩合と整粒歩合との間の関係[7]

さらに,被害粒歩合と着色粒歩合はいずれも全新旧品種のみで育成年次が新しくなるに伴い低くなる傾向があった(図8,図9)。一方,死米歩合は育成年次と一定の関係がなかった[7](1995年r=–0.292,1996 年r=–0.245,各n=24,28)。

図8 北海道の新旧品種における育成年次と被害粒歩合との間の関係[7]

図9 北海道の新旧品種における育成年次と着色粒歩合との間の関係[7]

このように,全ての新旧品種では育成年次が新しいほど整粒歩合が高く,未熟粒,被害粒および着色粒の各発生率が低くなった。しかし,1971年以降の育成品種では育種による改良が進んだため品種間差異が小さく,これら育成年次との関係が明瞭ではなくなった。

3 米粒外観品質における遺伝的改良の母本

腹白粒や乳白粒の発生を低減し整粒歩合を従来の品種になく大きく向上させた品種として,1962年育成された「ユーカラ」[10]が挙げられる(図 4)。「ユーカラ」は日本関東地域の品種が有するいもち病真性抵抗性遺伝子を北海道品種に導入する目的で交配した後代から育成された品種であり,育成当時には玄米品質が極めて良く食味も良好であった[6,10]。同品種の外観品質の良質性は系譜からみて,現在栽培されている主要良食味品種「きらら 397」,「ななつぼし」および「ゆめぴりか」にも受け継がれていた(図10)。

図10 米粒外観良質品種「ユーカラ」およびその後育成された主要米粒外観良質良食味品種の系譜[10-16]

4 整粒歩合と未熟粒歩合における現在の北海道主要品種と東北以南の銘柄米品種との比較

北海道の1984年以降に育成した主要4品種は,東北以南の銘柄米4品種「コシヒカリ」,「あきたこまち」,「ひとめぼれ」および「ヒノヒカリ」に比べると,概ね未熟粒歩合がやや高く整粒歩合がやや低かった(表3)。このことは,北海道品種を現在の主要品種である「きらら397」と「ななつぼし」に限定して東北以南の銘柄米品種に比較しても同様であった。

表3 1984年以降に育成された北海道の主要品種と東北以南の銘柄米品種における整粒,未熟粒および被害粒の各歩合[7]

なお,乳白粒・腹白粒は一次枝梗よりも二次枝梗に多く発生することが認められている(図 11)。今後,北海道の新たな育成品種における白未熟粒の発生を少なくするために,品種間における二次枝梗の多少と乳白粒 ・ 腹白歩合との関係を明らかにし,品種改良に活用する必要がある。

図11 枝 梗着生位置別の乳白粒 ・ 腹白粒歩合における一次枝梗と二次枝梗との比較[17]

5 北海道新旧品種における玄米と精米の白度

北海道新旧品種において,育成年次が1971年より前の品種では,育成年次と玄米白度および精米白度との間には一定の傾向がなかった。このことは,育成年次が古い品種では腹白や心白などの白未熟粒が多く,それらの粒が玄米白度を高くするためであった[7]。しかし,1971年以降の育成品種では,このような白未熟粒が多い品種は育成されなくなり,育成年次が新しいほど両白度が高くなる傾向があった(図12,図 13)。

また,1971年以降の育成品種では,概して玄米白度が高くなるほど精米白度が高くなり(図14),また精米蛋白質含有率が低いほど両白度が高くなる傾向があった(図15,図16)。これらの関係は,試験により明確でない場合もあるが,同一品種での年次間でも同様な関係が認められており[2],品種間でも一般的に成り立つ関係であると考えられた。

図12 北海道の新旧品種における育成年次と玄米白度との関係[3,7]

図13 北海道の新旧品種における育成年次と精米白度との関係[3,7]

図14 1971年以降に育成された北海道新旧品種における玄米白度と精米白度との間の関係[3,7]

図15 1971年以降に育成された北海道新旧品種における精米蛋白質含有率と玄米白度との間の関係[3,7]

図16 1971年以降に育成された北海道新旧品種における玄米白度と精米白度との間の関係[3,7]

6 玄米と精米の白度と透明度における現在の北海道主要品種と東北以南の銘柄米品種との比較

現在の北海道主要品種である「きらら397」,「ななつぼし」および「ゆめぴりか」でも,玄米白度は東北以南の銘柄米品種である「コシヒカリ」,「ひとめぼれ」,「あきたこまち」および「ヒノヒカリ」にやや劣っていた(表4,表5)。一方,精米白度では,北海道主要品種は東北以南銘柄米品種とほぼ同程度だった。さらに,玄米透明度は東北以南銘柄米品種に比べ一定の差異がなく,精米の透明度は同程度だった(表4)。なお,これらの玄米と精米の透明度は,精米蛋白質含有率が低いほど高くなる傾向があった(図17)。

さらに,玄米から未熟粒,着色粒および被害粒などを除いて,玄米白度を整粒のみで再調査した。その結果,北海道品種は主に青未熟粒が除かれるため玄米白度は上がるが,東北以南品種では乳白粒や腹白粒など白未熟粒が除かれ,逆に低下した(図 18)。その結果,整粒のみでは1988年に育成された「きらら397」以降の北海道品種の玄米白度は東北以南の銘柄米品種とほぼ同じであった。

7 米粒外観品質における北海道主要品種と東北以南の銘柄米品種との比較

以上のように,現在の北海道主要品種は東北以南の銘柄米品種に比べて,未熟粒がやや多く整粒がやや少ないが,玄米と精米の白度や透明度はほぼ同等で,米粒外観品質としてはほぼ同等であった。このことは,育種の選抜手法で見ると,米粒外観品質は現在まで旧来通り主に達観で行われ,良食味育種のような新たな効率的な手法の開発[5]はなされてこなかった。しかし,同一の目標に向かって長期間の継続的育種が行われたことにより,このような大きな成果が達成された。さらに,白未熟粒発生を抑制する栽培法が開発され[18],また色彩選別機の利用により整粒以外の粒の効率的な選別 ・ 除去が可能となったため,1998年以降では北海道の1等米比率は全国平均を上まわるようになった[4]。

表4 北海道の現在の主要3品種と東北以南の銘柄米4品種における米粒外観品質(比布町,褐色低地土)[3]

表5 北海道の現在の主要3品種と東北以南の銘柄米4品種における米粒外観品質(岩見沢市,グライ土)

図17 精米蛋白質含有率と玄米および精米の透明度との間の関係[3]

図18 北海道の1971年以降に育成された新旧品種および東北以南品種における全粒の玄米白度と整粒のみの玄米白度との間の関係[7]

備考:

1. 参考文献の中で、国家を明記するジャーナル以外、その他はすべて日本語のジャーナルである。

2. 本論文のカラーグラフは本誌のHPサイト(http://lyspkj.ijurnal.cn/ch/index.axpx)、中国知網、万方、唯普、超星などのデータベースをダウンロードして取得できる。

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