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日本の寒地,北海道のうるち米における白未熟粒発 生を抑制する栽培法(日文)

2020-12-08丹野

粮油食品科技 2020年6期
关键词:時期北海道

丹野 久

(北海道農産協会,日本 北海道札幌,060-0004)

キーワード:白未熟粒;栽培技术;寒冷地带;粳米;抑制

玄米の白未熟粒の発生は整粒歩合を低下させるため,検査等級を下げる大きな要因である(表 1)。例えば,北海道において 1993,2003年のように冷害年では青未熟粒が[2-3], 1997,2009年および 2014年では,乳白粒,心白粒,腹白粒および基部未熟粒などの白未熟粒(図1)が多発生し[5-7],落等の要因となっている。

青未熟粒については,出穂の早い品種の作付け,移植後の活着が良好な健苗の養成,および移植適期の遵守などの出穂を促進する基本技術[8-9]を励行する。その結果,出穂後,登熟気温が高くなることにより十分な登熟が可能となり,青未熟粒の発生が減少する。

白未熟粒については,北海道の主要品種である「きらら397」で1990年に多発生したことが問題となり,発生要因を解明した[10-11]。さらに,近年育成された良食味品種「ゆめぴりか」および「きたくりん」での白未熟粒発生が「ななつぼし」より多いことが認められ,その発生要因と栽培法の対策が報告された[12]。本報では,主にこれら白未熟粒に関する栽培試験の概要を紹介する。

表1 農産物検査規格における水稲うるち玄米および水稲もち玄米の品位[1]

図1 白未熟粒,青未熟粒および死米[4]

1 品種間差異

高温年での未熟粒を乳白粒,基部未熟粒,腹白粒,青未熟粒およびその他に分けたところ,乳白粒と腹白粒が多かった(図2)。品種間では,1984—1988年に育成された主要品種の乳白粒について,「きらら397」と「ゆきひかり」が「空育125号」よりも多いことが認められた(図3)。さらに,近年,2001—2012年に育成された3品種では,「ゆめぴりか」と「きたくりん」が「ななつぼし」よりも乳白粒が多く,さらに基部未熟粒では「きたくりん」が他の2品種に比べ多かった(図4)。

図2 高温年における未熟粒の種類別発生歩合の一例[13]

図3 品種、施肥および年次別の乳白粒歩合[13]

図4 白未熟粒および死米の各発生率における品種比較[4]

2 施肥量とm2当たり籾数

白未熟粒は,出穂期以降の光合成の減少(止葉葉身の切除)により発生が多くなり,腹白粒よりも乳白粒 ・ 心白粒が増加し,また出穂期に近いほど高かったが,登熟後期でも高まった(図5)。

図5 止 葉切除時期が乳白粒 ・ 心 白粒 ・ 腹白粒歩合に及ぼす影響[13]

施肥量は,無窒素よりも標肥,標肥よりも多肥と多くなるに伴い,乳白粒や腹白粒の発生が増加し(図3),これら白未熟粒の発生は,成熟期の窒素吸収量および㎡当たり籾数と正の相関関係があった(図6~8)。すなわち,施肥窒素量が多く㎡当たり籾数が多くなるほどその発生率が高くなり,同籾数がおよそ30,000粒を超えるととくに高くなることが示され(図7,図8),これを超えないように栽培することが必要とされた。なお,㎡当たり籾数30,000粒をこえた場合の白未熟粒の増加の割合には品種間差異も認められた。

図6 成 熟期の窒素吸収量と乳白粒 ・ 腹白粒歩合との関係[10]

図7 m2 当たり籾数と乳白粒 ・ 腹白粒歩合および検査等級との関係(供試品種は「きらら397」)[10]

図8 m2 当たり籾数と白未熟粒 ・ 死米歩合の関係における品種比較(供試品種は「ゆめぴりか」と「ななつぼし」)[12]

一方,多肥栽培により倒伏が生じることも多い。例えば,出穂後 40日間の日平均積算気温と乳白粒,基部未熟粒および腹白粒の3種の白未熟粒の合計発生歩合との関係には,820~860 ℃で最低となる2次回帰曲線の関係があった。その倒伏の発生により白未熟粒歩合が同回帰曲線よりも大きく高まることが認められた(図 9)。

図9 倒伏の発生が出穂後40日間の日平均積算気温と乳白粒・基部未熟粒 ・ 腹白粒歩合との関係に及ぼす影響[13]

3 栽植密度と穂揃い性

栽植密度と刈り取り時期については,中苗と成苗いずれも疎植での乳白粒 ・ 心白粒の発生率が高く,刈り取り時期の遅れにより高まった[15](図10,図 11)。このことから,栽植密度の基準を守り適期刈り取りを行うことの重要性が明らかとなった。

このことは,北海道では東北以南に比べ生育初期の気象が冷涼なため,初期の分げつ発生が劣り出穂前の生育期間も短いため出穂揃いが劣り[16],遅発分げつを多く発生させる場合があるためである。とくに疎植栽培において,遅れ穂の粒が刈り取り適期を過ぎてから肥大化し,適期刈りでは粒厚選別機で屑米となるものが,遅刈りでは乳白粒などとして精玄米に入ってくる。

また,育苗時期の苗 2.5葉期以降にハウス内気温 25 ℃以上の高温に遭遇させると,早期異常出穂が発生することが知られている(図12)。この発生により穂揃いが不良となり,白未熟粒が発生する(図13)。

図10苗種別と刈り取り時期別における栽植密度が乳白粒 ・ 心白粒歩合に及ぼす影響[12]

一方,苗種について成苗は中苗に比べ乳白粒 ・ 心白粒の発生率が高かった試験結果(図10)や,同じ「きらら 397 」 を供試しても乳白粒・腹白粒歩合にこれら苗種間で差異がみられないとする成績もあった[10]。さらに刈り取り時期と乳白粒などの発生との関係についても,刈り取りが遅くなるにともない未熟粒歩合が低下するとの成績もあり(図 14),栽培条件で結果が異なった。

4 過剰分けつと深水灌漑

初期生育が良好な場合には,深水潅漑により後期の過剰分げつの発生を抑制することにより,登熟歩合が高く千粒重が重く多収となり,品質も向上する傾向があった(表2)。それらは,深水潅漑により出穂後10日目の1穂当たり茎の乾物重が重くなることでもたらされた[11,19]。ただし,深水灌漑により稈長が長くなり倒伏しやすくなるため,留意が必要である。

図11 苗種別における刈り取り時期別の乳白粒 ・ 心白粒歩合の推移[13]

図12 早期異常出穂のパターン[17]

図13 穂揃い性の良否と白 未 熟粒 ・ 死米歩合との間の関係[4]

図14 出穂後日平均積算気温と整粒歩合および未熟粒歩合との間の関係-刈り遅れによる未熟粒発生がなかった例-[18]

5 登熟期の土壌水分

登熟期の土壌水分不足は,千粒重の低下による減収や腹白粒の増加による玄米品質の低下を生じさせ(表3),とくにケイ酸が少ない場合に腹白粒の発生が顕著となった(図 15)。早期の落水は土壌水分不足を生じさせ,小粒化による減収や腹白粒の多発生をもたらすことがあることから,適正な土壌水分を保持するように間断灌漑を行い落水時期に注意する[8-9]。

表2 分げつ期からの深水管理が収量と玄米品質に及ぼす影響[11]

表3 出穂後2~4週の土壌水分ポテンシャル,精玄米収量および米粒品質[20]

図15 出穂後2~4週の水分ストレス下における腹白歩合に及ぼすケイ酸および稲わら施用の影響[20]

6 未熟粒発生の機作と栽培技術による対応

出穂期から出穂揃い期の 10日後までに転流された 1籾当たり非構造性炭水化物(NSC)量,および粗玄米収量から同転流量を減じた登熟期間の1籾当たり増加NSC量がともに増加するに伴い,白未熟粒 ・ 死米の発生が減少した[21-22](図16)。なお,NSCは植物自身のエネルギー源として利用可能な糖やデンプン等の総称である。

すなわち,過剰な施肥や土壌窒素吸収の過多で初期生育が過剰になり,そのため㎡当たり籾数が過多になると,籾間で光合成デンプンへの競合が生じ,弱勢穎果では腹白粒が,強勢穎果では乳白粒や白死米が発生する。また,育苗時の高温による早期異常出穂や晩植および疎植により初期生育が不良化し,穂揃いが悪化すると,弱勢穎果は乳白粒や白死米を生じ,とくに遅れ穂では低温による青死米が発生する(図17)。

図16 1籾当たり非構造性炭水化物(NSC)転流量および1籾当たり登熟期NSC増加量と白未熟粒 ・ 死米歩合との間の関係[12]

図17 白 未熟粒 ・ 死米と生育および栽培管理の関係[4]

これら㎡当たり籾数の過剰に対しては,施肥標準の遵守や土壌診断による施肥対応が必要である(表4)。また,初期生育過剰には,分げつ期からの深水管理を行う。なお,青死米の発生は1籾当たり0.03 ℃/籾/m2以下となる場合に多くなることから,㎡当たり籾数の適正化とともに,適期移植や初期生育促進[8-9]により出穂期を早める。

穂揃い性を良くするためには,移植時に基準の栽植密度を遵守するなど,初期生育を促進する。さらに,早期異常出穂の発生を回避するため,育苗時に苗 2.5葉期以降にハウス内を気温 25 ℃以上としないこと,および移植時葉齢の品種別上限に達する前に移植を行うことが重要である。

乳白粒および基部未熟粒の発生にはそれぞれ品種間差異が認められている。例えば,乳白粒では登熟期に窒素吸収量が急激に低下し光合成量が急減する,あるいは登熟期間の日射が少ない,また基部未熟粒では登熟後半でも気温が低下しにくいなど,栽培圃場の土壌特性や気象条件により各白未熟粒が発生しやすい場合には,品種選定による対応が必要である。

表4 北 海道米の白未熟粒 ・ 死米の発生要因と軽減方策[12]

7 色彩選別機の活用

1990年代後半から,大型のライスターミナルを中心に,色彩選別機の導入が進んだ[23](図18)。すなわち,粒厚選別による調製後,さらに色彩選別機にかけ,乳白粒や青米などの未熟粒や被害粒,着色粒を除去できる。そのため,選別歩留は低下するが,確実に検査等級を上げ,1等に調製でき,また玄米白度や搗精歩合を上げることが出来る(表5)。さらに,粒厚選別時に狭い篩目を用いて,その後色彩選別機をかけて1等米に調製することにより,選別歩留まりと整粒歩合の両者ともに上げ,1等米とすることも出来る(表6)。

図18 米の共同乾燥調製貯蔵施設(カントリーエレベーター)における籾荷受から玄米出荷までの流れ[23]

表5 粒厚選別と色彩選別を組み合わせた時の玄米白度および搗精歩合[24]

表6 粒厚選別と色彩選別を組み合わせた時の歩留,検査等級および整粒歩合の向上[23]

8 1等米比率の向上

図19 1971年以降における北海道と日本全国の一等米比率の推移[25]

このような栽培技術および玄米調製技術の向上により北海道米の1等米比率は過去40年で大きく上昇した(図19)。そのため,過去20年では,登熟期前半に低温寡照であった1997年および冷害年であった2003年の2ヵ年を除けば,1998年以降概して全国平均を上回っている。ただし,近年では2009年と2014年には全国平均とほぼ同じか上まわるものの他の年次よりやや低下している。これらの落等は,それぞれ出穂遅延での登熟期の低温から生じる登熟障害による腹白粒,および穂揃い不良による白未熟粒の発生による[6-7]。

白未熟粒の多発生時には,北海道で色彩選別機導入前に一時行われていたように粒厚選別機の篩い目幅を通常より広くすることや,通常の篩目で粒厚選別後に色彩選別機をさらにかけることにより,白未熟粒を除くことができる。しかし,これらの方法は選別歩留を下げ,とくに色彩選別機の使用では追加の費用および労力を必要とし,生産者の収入を低下させる。それらを回避するためには,白未熟粒発生を抑制する基本技術の励行が必要である。また,1997年にみられる登熟期前半の低温寡照による白未熟粒の発生[5](図19)には,栽培法による対応も困難であり,品種育成での対応が望まれる。

備考:

1. 参考文献の中で、国家を明記するジャーナル以外、その他はすべて日本語のジャーナルである。

2. 本論文のカラーグラフは本誌のHPサイト(http://lyspkj.ijurnal.cn/ch/index.axpx)、中国知網、万方、唯普、超星などのデータベースをダウンロードして取得できる。

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